大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24新(れ)125 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人本人の上告趣意について。

所論第一点は、要するに事実誤認を主張するものであり、同第二点は、結局量刑

不当を主張するものであるから、明らかに刑訴四〇五条に規定する上告適法の事由

に該当しないし、また同四一一条を適用すべき場合とも認められないから、採るこ

とができない。

弁護人熊谷正治上告趣意第一点について。

しかし、何人を問わず日本国内において罪を犯したものは刑罰法令を適用される

ものであること刑法一条、八条により明白であつて、朝鮮人は、連合国人ではない

から、特に日本の裁判権から除外される何等の理由も存しない。それ故、所論は、

採ることができない。

同第二点について。

しかし、被告人に対する検察事務官の供述書が強要されたものであることは、こ

れを認むべき何等の資料もないから、所論は採ることができない。

同第三点について。

しかし、所論引用の他の判決と比較しても、原判決が人種により差別を設け又は

裁判の公平の原則に違反したと認めることはできない。その他これらの点を窺うに

足る資料が存しないから本論旨も採ることができない。

同第四点について。

しかし、憲法三七条二項は、事実裁判所が諸般の事情に基き必要とする証拠の取

捨選択をする裁量権を制限するものでないこと当裁判所大法廷の判例の趣旨とする

ところであるから、所論前科の内容の取調請求を却下したからといつて同条項に違

- 1 -

反したということはできない。所論は、それ故に採ることができない。

よつて刑訴四〇八条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二四年一二月二二日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!